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ウォルマート最新フォーマットに改装したニュージャージー州セコーカス店

昨年1月、ウォルマートはオムニチャネル経験が向上する新店舗フォーマットを発表した(詳細は本レポート2022年2月号へ)。このフォーマットは営業を続けながら順次既存店改装によって導入されているが、マンハッタンから車で15分以内、金融街のアナリストたちもよく視察にくるニュージャージー州セコーカス店が8月18日に7,500万ドル、2年間をかけた改装を終了した。同店は新フォーマットの旗艦店とも位置づけられている。

 改装ポイントは前レポートの通りだが、改装ポイントと実際に来店して見た印象をご報告したい。

  • 店内回遊:遠くから何がどこにあるかわかるように低い什器、大きなサインで、特にサインはクリーンな印象を与えている。広くとった主動線上に並ぶ価格訴求品も整理整頓され、価格も遠くからわかる。この主動線沿いの什器エンドも同様のヴィジュアル処理をしているため、全体的に非常にすっきりと見え、わかりやすい。また、入店口にはアプリをダウンロードし、インストアモードにすることを促す看板があり、アプリのメリットなどが周囲の壁に告知されている。
  • 照明:LED照明で明るい印象だけでなく、天井・什器のサインが読みやすい。
  • チェックアウト:通常レジ、セルフレジは通過時間を最短にするためのレイアウトで、それぞれの待ち列両側には従来通りの衝動買いアイテムがぎっしり並んでいる。一方レジ周りでの衝動買いアイテム陳列は整理されたようだ。新規要素としてウォルマート+会員専用レジ4機が設けられた。
  • デジタルスクリーン:化粧品売場でリテールメディアとして有効活用されている。以前の暗くてゴミゴミした感じから、照明が明るく、しっかり商品を見比べられる売場に変化している。実際に若い顧客が一人でじっくり買い物する姿を頻繁に見かけた。広報資料で強調されていたレジ付近のデジタルスクリーンはスクリーン下にスポンサー商品が並んでいたが、画像は価格とあまりインパクトの無い画像となっており、ここはまだこれから本腰を入れるといった様子だ。
  • 各部門のコーナー活用:ホーム、アパレル部門などでコーナーに部屋を再現したりコーディネーションを見せるディスプレイを設置。確かに店舗が華やかに楽しく感じさせる効果がある。QRコードによって、商品情報などを細かく知り、購入もできる。
  • ブランドショップの改良:アパレル売場はリーボック、子供服ジャスティスなどのNB、PBフリーアッセンブリーが品揃え幅はタイトだがそれぞれブランドのスタイルがよく表現されていて、買いやすくクリーンな売場になっている。

 筆者は改装中の2年間に何度となくこの店舗に通ってきたが、こうして出来上がってみると、やはり「クリーンで買い物しやすい店に変わった」という印象を持つ。また、ウォルマートはアプリにも投資をし、インストアモードにすれば欲しい商品の位置情報(マップ、および什器番号)が価格や商品情報、在庫情報と共にすぐわかる。30,40代の子連れの買い物客は、結構この機能を使っているようだった。ただ、会員特典であるスキャン&ゴー(自分で商品をスキャンして最後にセルフレジでバーコードをスキャンして決済)を利用している客は筆者くらいで、見かけることはほとんど無かった。

ウォルマートの中心顧客は今は統計的には50代だが、毎年確実にデジタル世代に代わっていく。そのインフラがきちんと作られているのだと感じた。

https://jp.ext.hp.com/blog/rPOS/opinion/newnormal37/